英語力の伸びは、その人がかいた恥の数に比例するなんてことを誰かが言ってましたが、僕もつくづくそれを感じます。言葉を話すというのは、テストのように正確な回答がないので、自分で探り探り最適な答えを探すしかないからです。その過程でたくさん失敗するだろうし、恥ずかしい経験もします。重要なのは失敗した時に、冷静でいられるかどうか。その時に苦手意識を持たないでいられるかどうかです。
僕も留学当初は失敗ばかり。言いたいことが伝えられないし、正しいと思って言ってるのに伝わらないことなんて日常茶飯事でした。最初は恥ずかしい思いをしたくないと思ってたんですけど、ネットで見たある言葉を思い出しました。
「恥ずかしがってるお前が恥ずかしい」
いつの日かあるホストとして働いていた方のブログで見つけた言葉です。言葉の使い方が「うまいな」と思いました。この言葉を意識するようになってから結構、クールに恥をかけるようになりました。失敗しても堂々としてるみたいな。
でもです。やっぱりどんなに心理強化をしても、それを上回る恥ずかしい経験ってあるんですよ。「うわぁ〜」ってなるような経験が。そんな経験をシェアして、海外に行こうとしている人に勇気を与えられたらと思ってます。
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ホストマザーと教会に行った時の話
留学当初の最初の3ヶ月はホームステイをしてました。そこにいたのは60代のメアリーという名のアイリッシュの一人のおばあさん。彼女は所謂カトリックでした。最もメジャーで伝統的なキリスト教の宗派です。カトリックの人は毎週末に教会に行きます。最近の若い人たちは行く人が減ってきているそうですが、彼女の世代の人だと熱心な方が多いので、彼女も毎週末教会に通ってました。
住み始めた当初は、英語が聞き取れなかったので、どこに行っているのか不明だったんですけど、数週間かしてからですかね、ある日曜の朝「一緒に教会行ってみる?」って聞かれたんです。その時の僕にとってのキリスト教のイメージは”異国の知らない宗教”だったのですっごい興味がありました。でもキリスト教信仰してないので「行って大丈夫なのかな?」と思ってたので、そのことを話しました。すると「全然大丈夫だよ」とウェルカムな感じ。ラッキーと思ってついて行きました。
教会の場所は家から500メートルくらい離れた場所にあって、外観は灰色で、高さは首を曲げて見上げないといけないくらいの建物。日本人がイメージする結婚式場みたいなイメージではないですね。どちらかというとホグワーズの城みたいな感じです。
中はステンドガラスでデコレーションされていて、独特の音の響きが広がる空間です。匂いも特殊なものを焚いているのか、自然と落ち着いた気分になります。参列する人は皆、外ではガヤガヤしてても、教会に一歩入ると静かになります。かなり厳粛な雰囲気です。
いよいよ、ミサ(儀式や祈りをする)が始まります。参加する回にもよりますが、決まった幾つかのステップに分かれて進行します。参列者は司祭の進行を聞いて、時々聖書の中の一節を一緒に唱えたり、歌を歌ったりします。
今でもあの静寂で神聖な雰囲気が好きです。焚かれているお香も、日本では嗅いだことがないような香りで、幻想的な気分になり、普段の疲れを癒してくれるようでした。
だから、キリスト教を理解するためにもいい機会だと思って、雰囲気を味わうためだけに毎週参加してたんです。でも唯一ミサの中で参加しなければいけないことがあったんです。それが周りの人と握手を交わして挨拶をするということ。
さすがに自分がキリスト教徒じゃないからといって、相手からの挨拶を無視するわけにいかないじゃないですか。それこそ日本人代表として、英語はできなくても、挨拶くらいはしっかりしないとと思って、いつも積極的にやってたんです。周りの人の見よう見まねで、少し口角を上げて、ニコってしてね。
で、ある日教会から帰ってきてメアリーに聞かれたんです。「Masato〜。ミサの最後の方でする挨拶あるじゃない。あの時なんて言ってる?」って。僕はまぁ普段通り何回もやってることなんで、何言ってるのかなぁと思いつつ「Nice to meet you.でしょ」って言いました。だって普通初めて会う人と挨拶するときはこれですからね。
そしたら、今まで見たことないくらいゲラゲラ笑い始めて。僕からしたら「え?なになに?」って感じ。周りの人と同じことをやってるだけでしたからね。笑いが収まったところで、メアリーが教えてくれました。
「挨拶の時に交わす言葉は『Nice to meet you.』じゃなくて『Peace be with you.』だわ」。
もうこの時の恥ずかしさといったら、今思い出しただけでも顔から火が出ますよ。
あんな静寂で神聖な場所で!さも交流の場と勘違いしているかのように「Nice to meet you.」って言っちゃってるんですよ。しかも周りの方が「平和があなたと共にありますように」と高尚な言葉をかけてくれている中、僕は何の臆面もなくニコッと口角を上げながら「あなたに会えて嬉しいです」って言っているわけですから、もう日本人の恥ですよ。
さらに、数週間にわたって繰り返し「Nice to meet you.」と言ってたわけですから「また来たあの『Nice to meet you.』の日本人」と言われていた可能性が大です。あれ以来、僕は「Nice to meet you.」にトラウマがあって、言うたびにあの時の恥ずかしさを思い出します。
アイルランドにいる間に色々と恥ずかしい経験をしましたが、これはダントツトップですね。その場限りのミスだったら「仕方がないよね」って思えますけど、数週間にわたってって。
はぁ。
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